この文章は、宇都宮千織さん演じる一郎彦が大好きな筆者が、千織一郎彦について書いたものです。以下の注意書きをよく読み、ご理解いただいた上で、問題ない方のみ本文をお読みください。
そのうちに非公開にする可能性があります。ご了承ください。
⚠️注意1
宇都宮千織氏演じる一郎彦を見たショックで気が狂ってしまった筆者が、ものすごく視野の狭い状態で書いた、主観だらけの文章です。全ての人への同等の効果・効能を約束するものではありません。また、とても長いです。
⚠️注意2
前半部で、映画から想像される一郎彦像と大きく外れているように見え「誰?」と感じた初見時の話をし、それを踏まえた上で後半方向転換して褒めちぎっていますので、褒めちぎるところだけ読みたい人は「◎ところがどっこい」まで飛んでください。
⚠️注意3
俳優さんの敬称を一部略するなど、ぞんざいな言葉遣いをしております(悪口ではありません)。そういう文章を読みたくない方は、そっとブラウザを閉じてください。
その上で、千織さんの一郎彦が好きな人や、うーんよくわかんなかったなあ誰かご意見番気取りのやつ居ないのかなあ、と思っている人に読んでもらえたら嬉しいです。主観しかないので、人によっては「はあ?バカじゃねえの」となる部分も大いにある可能性は十分ありますが、一つの見解として参考になれば幸いです。
繰り返すようですが、筆者は千織さん演じる一郎彦が大好きです。
なお、タイトルのイラストと内容はほとんど関係がありません。空飛ぶ白い鯨の絵です。かぜのさかなと並べたかっただけです。
目次
◎劇団四季「バケモノの子」との出会い
劇団四季にハマって少し経った頃、「バケモノの子」を舞台化するという話を知りました。すぐに映画を見て、かなり好きになりましたが、舞台化に関しては、鯨どうすんの?程度の感想だった気がします。けれども信頼と実績の劇団四季だし、と思っていたところ、パペットデザインがトビーオリエ氏(パペット担当が同氏の「不思議の国のアリス」が大好きなのです。リトマ・ロボ庭も好きですし)だと聞き、ならば是非とチケットを一枚取りました。トビーオリエの名がなかったら見なかったかもしれないので、オリエさんにすごく感謝してます。
始まって少し経った頃の東京公演で、観た後一番印象に残っているのは、キャラクターではなく、鯨でした。我ながら、初見としては妥当な感想だろうと思います。そもそもオリエ氏目当てで行ったしね(鯨に「アリス」での経験がしっかり生きており、うお!チェシャ猫の再来!と思ったのは内緒)。
一郎彦は菊池さんでした。
正直、初観劇の時見たものは役そのものの印象になってしまい、俳優の印象は残りにくいと思っているんですが、その時もそうでした。一郎彦として大変適切である。そういう印象でした。菊池さん、外見が映画の一郎彦にものすごく似ているんですよね。透き通るような肌と白っぽい化粧が、病的なまでの色白さで描かれる映画の一郎彦にとても近いこと、またラストシーンで事切れたかのように儚げに倒れてしまうこと、そのあたりの印象がとても強いです。これは最適解。映画からスルッと出てきたようで、ファンとしては嬉しい限り。そういう感想だったと思います。
その後は東京に行く機会が少なく、それきりになりました。東京の千秋楽の配信は一応見ましたが、あとは名古屋に来た時にもう一回見ればいいかな。そのくらいの軽い気持ちで、名古屋の11月のチケットを、安く一枚だけ取りました。チケ販があったのがちょうど長期的に体調を崩していた時期でもあり、直近だと観劇ができそうになかったのです。
でも、今思えばこれが間違いでした。せめて9月とか、もっと早くのを取るべきだった。でも、こんなことになるなんて思っていなかったのです。
宇都宮千織。その日の一郎彦役の俳優です。私はきっと、この方を今後も贔屓にし続けるでしょう。千織さん、千織さん。どうにか、どうにかマンマミーアでスカイをしてくれ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
◎一郎彦ってわからない、という話
ところで、一郎彦という人物は非常に難解です。
映画だと特に、意外に出番が少ないんですよ。特に青年期の半分くらいは、生身で九太をボコすか、鯨型で九太をボコしています。つまり、基本的に九太をボコしているか、そうでなければボコすための準備(例:二郎丸と九太を引き離す、宗師決定戦でイラつく等)をしているんですね。しかも、いい子ちゃんの仮面を被っている上に、その下にある素顔はもうほぼ闇に取り込まれているので、素の本人がどんな奴かって本当にわからない。物理的にも仮面(マフラー)してるし。鯨に成り変わったところも、完全に闇に乗っ取られたという感じで、あまり本人の気質は見えてきません。
また、アニメでは画面外にいる時の挙動が全く確認できないのも、そのわからなさに一役買っています。「誰々のあのセリフへの反応が知りたいな〜」とかができないからね。
なんか、あまりにも素顔が見えないからか、映画公開後の一時期は女の子説まで囁かれていたらしい。まあ、これは笠松菊池コンビがキャスティングされた時点で可能性が雲散霧消しましたし(でも一応、映画もcv宮野真守です…。あと、「実は人間でした」に加えてさらに「実は女の子でした」はやりすぎというか、ないと思うんだよなあ。女子なら女子として育てたでしょ)、ここでは触れませんが、それくらい謎の存在だと感じる人が多かったということだと思っています。
唯一本性が見えるのは、最後にベッドで一人起き上がるところだけ。あのシーンと、子供の頃の様子から、本当は穏やかで心優しい、柔軟な強さのある(人を目指したかった)青年なのかなという印象を受けました。「力は優しさのため」というセリフは、舞台でも印象に残るところですしね。とにかく映画だとそういう感じ。鯨になったこと、父との関係、主人公や楓との違い…そういう点で語るべきことはたくさんあるキャラクターなのですが、本人がどういう人だったのかってあんまりわからないまま終わるんですね。見る方にとっても難解な役だと思います、映画では。パーソナリティがわからないから、パズルのピースがいまいちはまりきらない感じがしていました。
で、「穏やかで心優しくありたかった」というのが素じゃないかなあ?というなけなしの印象については、東京で見た菊池さんも映像で見た笠松さんも、大きく外れるということはなかったんじゃないかなあ。菊池さんはともかく、笠松さんをあまり覚えていない……やっぱり本物を見なきゃダメですね。笠松さん本当にすごいらしいので、もったいないことをした。少なくとも確実に一つ言えるのは、お二方とも外見はそれっぽいということです(これ大事です)。
ところが、名古屋公演でお出しされた、大阪で新しく生まれたとかいう一郎彦は、なんだか様子が違いました。様子が違うというか……青年期の人に交代して登場した瞬間から……なんか、どうも、様子がおかしいんですが……。
◎様子のおかしい一郎彦 〜宇都宮千織〜
↑キャッツ風です。
いかに千織さん演じる一郎彦の様子がおかしいか。一言で言うとこんな感じです。
そうはならんやろ。なっとるやろがい。
この衝撃をわかってほしいので、例え話をします。
自分を渋天街の住人とします。お隣に住むのは猪王山と、奥さまと、少年がふたり。「一郎彦くんは今日も本当にお利口。二郎丸くんは元気だね!」(この一郎彦くんは、たとえば私がよく見た吉田瑠那さんとします)みたいな会話をよくしていたと仮定しましょう。ところが諸事情で8年ほど渋天街を離れることになりました。8年経って戻ってきて、さて改めてご挨拶…と言って隣家に向かった時、宇都宮千織のナリをした一郎彦が出てきたら、みなさまきっとこう思うのではないでしょうか。
誰だよ。
もちろん帽子や服装や黒い髪なんかですぐに一郎彦だとわかるわけですが、その後一言目に、多分みなさんこう言うでしょう。「一郎彦くん!?た、たくましくなったね!」しかし内心はこうです。
たくましくなりすぎだろ。
いくらなんでも外見から内面までいかつくなりすぎだろ。誰だよ。あの華奢で聡明で、いかにも念動力とか使いそうな、賢く優しい良家のご子息を全身で体現していた吉田一郎彦はどこに行ったんだ。その肩、その腕(「バケモノの子」の歌詞風)、そして何より、その態度! 負の怒りのトゲトゲオーラが見えるのは気のせいなん? 8年見ない間に何があったんだ!どうしたんだよ一朗彦! 念動力とかじゃなく、素手でパイプへし折る感じか? スマブラとかに参戦予定?
何をどうしたら…何をどうしたらそうなってしまうんだ…! 映画の…あの病人みたいな顔色の、俺たちの一郎彦はどこに行ったんだよ…!
いやまあ、さすがに言い過ぎというか、誇張表現がかなり入っているんですが、私のショックの大きさをわかっていただけたんではないでしょうか。これが菊池さんや笠松さんだったら「あらぁ一郎彦くんハンサムになって!」で済む話です。いや、千織さんもハンサムです。はちゃめちゃなイケメンなんですよ、あの人。なんてったって私はそれであの人を贔屓にしようと決めたんですからね(要は顔が好みの系統の方というわけだが、今は関係ないので割愛)。
そういうわけで、この方、全然一郎彦らしくないんです。語弊がないようにもう少し丁寧に説明すると、「映画の一郎彦」らしくない。これで「女の子説」は無理があります。顔立ちはとても華やかな方ですが、どこまでいっても「イケメン」ですね。女の子ではない。(気合を入れて女装すれば強烈な美人にもなれる方でしょうが、そういう事ではないので…)映画を知っている人なら、見れば見るほど「誰?」となる、そういう雰囲気を纏っています。
まず、かなり筋肉質らしく、ノースリーブの袖から覗く肩と腕がものすごいムキムキなんですね。これが全然一郎彦のイメージと合わない。でもまあこれだけなら特に問題ないと思っています。ロボ庭で、眼鏡のベンもいるよね、みたいに(あれは裏話が色々あるようですが)、ムキムキの一郎彦もいるよね、という。役者の個性として挙げてもいいとは思いますが、さしたる問題ではないでしょう。ところがこの人、外見だけでなく、内面もムキムキ、バッチリ作り上げて、ガチガチに武装して登場するんですね。武士?
例えば「真実」の直前のシーン。両親の前で二郎丸と言い合いになり、母に注意されるところで、父親に謝る時の声でか。今静かにしろって言われてたよね? 喧嘩をやめろと言われただけで、喧嘩じゃないからいいのか。体育会系といった雰囲気を感じます。部活?
ここはわかりやすい部分なんですけど、なんというかここだけじゃなくて、一時が万事、雰囲気こんな感じなんですよね。自分の感情を抑え込めずに常にイライラしているのがよくわかるし、八つ当たりとまではいかないけど、負の感情が外への攻撃となって常にちょっとずつちょっとずつ漏れ出している感じがします。二郎丸に「そんなことない!」と答えるのとか、そこにいるだけの熊徹(「母の想い」リプライズ)や九太(「苦悩の果てに」直後の見廻り)をじっと睨みつけたのち足早に去るのとか、かなり攻撃的に見えました。少なくとも映画だとこの辺かなりうまく隠してるはずなんですよね。
こういう雰囲気に関しては、他の方の「鎧を装着している感じ」といった意味の感想を読ませていただいたんですけれども、それだ! と思いました。しかもただの鎧じゃなくて、棘とかついてるやつ。武士だとしたら、江戸時代とかじゃなくて平安・鎌倉期の坂東武者とかでしょうね。また、マフラーをしているのを見るとちょっと忍者っぽくもあります。密偵よりも、要人を仕留めるほうを生業にしていそうな。切り捨て御免。いやそれは武士だってば。
「苦悩の果てに」も、私にはなんとなく、自分の手には余る強さの、大きすぎる負のエネルギーを抱えきれなくなって、それが爆発してしまった結果椅子や机を動かしてしまう、といったふうに見えました。「私は猪王山の息子だ。」のところも、ものすごいギラギラした攻撃的な目でこちらを見ているし、その直後の見回りのところも、マフラーで口を隠すことで見た目の印象はかなり大人しくなるんだけど、直前の雰囲気が少し残っているような気がします。九太をじっと睨みつけて…という。
一緒に行ってくれた(観劇素人の)友人が「なんであんな、力こそパワー。みたいな感じなの?」と言ってましたが、まさにそうでした。力は優しさのため…とは…。
◎ところがどっこい
上記のような印象に圧倒されつつ、しかしかなりカッコ良い(私の好みの)一郎彦でもあったので、何だこの訳のわからなさと格好良さのハイブリッドは、と混乱しながら見ていたのですが、事態は思わぬ方向へ転がってゆきます。
なんと、二幕の後半を見ていくうちに、これは…なるほど…。となっていったのです。どんどん理解が追いついていきました。誰だよ…となっていたはずなのに、その印象はどんどん変化していき、見終わる頃には大いなる納得感に変貌していました。
そうか、一郎彦ってこういう人だったのか!
目から鱗がポロポロと、少なくとも百枚くらいはこぼれたと思います。カーテンコールで立ち上がって拍手する私の足元で、目から落ちた鱗が山積みになって、シャボン玉のようにキラキラしていたことでしょう。しらんけど。
◎莫大な闇の力について
そういうわけで、こういう一郎彦を見せられた私は、訳も分からず一瞬でこの宇都宮千織とかいう(←当時よく知らなかった)俳優の方が演じている一郎彦が大好きになってしまい、ショックで気が狂ってしまいました(バレエ「ジゼル」のパクリ)。私がジゼルだったら発狂ののち、そのまま死んでウィリになっていたことでしょう。千織さん、スキンブルとオペラ座アンサンブルでも見ていたはずなんですけどね。スキンブルがすごく良かった記憶はあるんだけど、初キャッツだったので、千織さんじゃなくて役の印象になっちゃったんだよなー。
話を戻します。
「そうはならんやろ」状態だった私が、いかに納得したかについては、やはり「復讐の誓い」を中心にお話ししたいです。
誰がやっていようと一郎彦を語る上でまず語るべきシーンといえば、満場一致で「復讐の誓い」でしょうが、千織さんも例外ではありません。千織さんは、声質や音域の問題もあるでしょうが、そこは(たぶん)ご自身の強みを活かし、低音部を響かせる歌い方をしています。
これが個人的に、たいへん衝撃的でした。
あの歌の千織一郎彦はあまりぶっ飛んではいません。高笑いも短め。豹変したという印象だけがある、とはあまり言えないでしょう。その豹変のしなさぶりに物足りなさを感じる観客も、中にはいたかもしれません。だってほら、笠松さんとか飛び具合は比べ物にならないというか、CDの音声だけでも十分わかる狂人ぶりじゃないですか。笑いすぎだよ。
けれども、私はそこに痺れました。千織一郎彦を見て気が狂った原因を一つだけ挙げるとしたら、まずここになると思います。
このシーン、千織さんがやると低音が目立つせいで、弟や父と話をしていた普段の一郎彦と声のトーンがあまり変わらないという印象になります。これこそが宇都宮千織の一郎彦の醍醐味です。
この時の彼は、普段の一郎彦と地続きなのです。
闇に呑まれて熊徹を刺し、家族を振り捨てて消える彼だけれども、普段の彼とそれらの行動は最後まで地続きで、完全に異質なものに成り変わるわけでは決してないのだ、と気がつきました。闇に呑まれても、鯨になっても、あれは確かに一郎彦自身である。だからこそ九太、蓮に直結する問題として彼も熊徹も捨て置くことができないし、残された家族三人は、一家が抱える問題として闇と向き合わなくてはならず、強く心を揺さぶられているんじゃないか。そう思いました。
あの低く響く歌声からは、闇になろうと何だろうとベースには一郎彦のパーソナリティがあることがよくわかって、そら恐ろしくもあり、同時に切なくもありました。
ただ、ここだけに注目すると「振れ幅のない芝居ってことじゃないの。感動ポイントがよくわからない」ということになるわけですが、私にとっては全くそんなことはありませんでした。この印象にたどり着くまでに、千織さんの場合は、一幕後半〜二幕中盤までの、「普段の一郎彦」の積み上げが非常によく効いてくるからだと思います。「そうはならんやろ」だったはずの一郎彦は、振り返ってみれば「他にあり得ない」になっていました。
自分の感情を少しずつ外へ小出しにしてしまう、しかも攻撃といった形で、という様子や、声が大きくやたら体育会系に見える雰囲気、「苦悩の果てに」で見た、暴れる感情を持て余すさま…千織さん演じる一郎彦には、そういうエネルギッシュなところが性質の根本にあります。そこへ、自分への憎しみ、父への不信感、九太への妬み、真っ当に成長する弟への引け目などの、さまざまな負の感情が少しずつ少しずつ乗っかって、混ざり合い、一つの大きなエネルギーの塊のようになることで、あの強大な闇が時間をかけて形成されていったのだろうと気づきました。激情タイプの一郎彦、と私は勝手に名前をつけていますが、そういうタイプの一郎彦だからこそ見えてくる彼の内面や、過去があると気がついたのです。千織さんの一郎彦の様子からは、彼の感情が長く辿ってきた道のりが見えるようでした。
その積み上げの最終段階として待ち構えているラスボスが、パーソナリティが垣間見えたままの、あの癖のある「復讐の誓い」です。
闇に呑まれてなお鯨になれるほどの、爆発するようなエネルギー。時に不信感となって内へ向かい、時に攻撃性となって外へ向かう、発散してあまりある強い感情の波。こういうものを抱え、持て余したまま、一郎彦は闇に呑まれ、そして鯨になっていったのだと思いました。
そうなんだ。一郎彦ってこういう人だったんだ!
だから鯨になれたのか!こんな解釈ありえたのかよ!
これまで像を結びきることのなかった「一郎彦」というキャラクターの、抜けていたピースが全部はまった感じがしました。すっげえ。それ以外の感想が出てきませんでした。こんな一朗彦像があり得たなんて。すっげえもの見ちゃったよ。
闇は「一郎彦を外から乗っ取った」のではなく、紛れもなく「彼の中から生み出された」ものに違いないということを、助走つけて殴りかかる勢いでわからせてくる、文字通りパワー系の一郎彦なのです。こんな一郎彦いていいのかよ!全く考えつかなかった!とショックを受けつつ、でもそれ以外あり得ない…これこそが一郎彦…と納得してしまいました。
そして(ここでようやく記事前半部分の伏線の回収ができます!)こういう一朗彦である上では、前半で「あまり一郎彦らしくない」と述べたはずの、体格、筋肉、いかついオーラが、一転して大きな武器、すばらしい魅力になります。激情タイプの一郎彦を演じる上で、宇都宮さん特有の「力こそパワー」一郎彦は、彼のキャラクターを支える最高の外見として、最大級に威力を発揮しているのです。
そもそも、闇に呑まれて鯨になり、それでも執念で九太を攻撃するなんて、恨みがある、程度ではまず無理な芸当なんではないでしょうか。ちょっと強めの恨みと強めの体があるだけではできないはずですが、一郎彦とは、そういうことを平気でやってのけるくらい、心と体に莫大なパワーを秘めている人なのです。彼はいつでも今ここを全力で生きているのだ、と感じました。だからイライラするし、机や椅子を浮かせ、果ては暴走して世界を股にかけた騒動すら起こしてしまう。そうして彼が鯨になるのを私たちが目の当たりにするとき、あの一郎彦が行くところまで行ったらそれくらいのことはしでかしても何もおかしくはないと納得できてしまう、それが千織一郎彦だと思います。
◎息子として・兄としての一郎彦
ちょっとおまけっぽい話になりますが、家族の一員としての一郎彦の話を。
兄弟・親子の役がある話を見る時、私はどうしても「どこが似ているか」ということを気にしてしまいます。ムファサとスカー、エルサとアナ、最近では潮路と忠太を見ましたが、そのほかにもいろいろ。彼らには親や子供もいるので、その人たち、要は親戚との共通点は必ずチェックしています。バケモノの子も同様です。
そういう点で見た時に、千織さんの一郎彦はかなり納得できるというか、父や弟と一つ屋根の下で育ちました。という感じがすごくあるのが、個人的に高く評価したいポイントです。(男三人に、猪王山奥さんの「私が育てました。」という農家さん風のシールを貼っておきたいくらいです)持て余すほどのエネルギーを抱えて途方に暮れて、闇に呑まれる前から、中にも外にも攻撃として小出しにしてしまう一郎彦というのは、改めてなかなか斬新だと思います。しかし同時に私はこうも思うのです。猪王山の息子で、二郎丸の兄なら、こういう一郎彦でもおかしくはないと。
数多くの弟子を率いて渋天街を束ねる気概があり、あの熊徹の喧嘩を買って叩きのめしてしまう屈強な父と、少年期も青年期も渋天街を駆け回り、九太にしつこく絡み兄とも喧嘩する元気いっぱいの二郎丸。この二人は渋天街屈指の高火力親子だと思います。おまけにお母さんも、拾い子(しかも人間!)を差し出されて「いいわ。私の子にしましょう」となってしまう、かなりすごいママですしね。
発揮の仕方を間違えてしまったけれども、演・宇都宮千織の一郎彦の爆発力のあるエネルギーには、彼らによく似たものを感じます。このパワフルさは彼と家族との確かな共通点であり、一郎彦が間違いなく猪王山の息子、二郎丸の兄であることを補強する材料になっていると思います。血が繋がっていなくても、似るものは似るのです。
彼はこれからそういうところを拠り所にして、家族との新しい関係を築いていけるだろうと、私は千織さんの一郎彦を見るたびにそう思い、そう思うたびに一郎彦がますます大好きになっています。
◎声のでかさに関するおまけ
これは完全におまけの話になりますが、最後の最後にもう一つ納得ポイントが用意されていて、私はそれが大好きなので、そこの話をします。
みんなの前でふらっと倒れて、記憶をなくして起き上がったときの千織一郎彦の「私はどうして……。あれ、試合は?」という台詞。
声でかくね?
なんか早口だし。少なくとも映画の三倍くらいのデカさであります。壮絶な戦いを繰り広げ、心身ともに消耗して3秒前まで気絶していた人にはとても思えませんが、ここでいつも私は何だかちょっと嬉しくなって、ふふっと笑ってしまいます。映画でもそうですが、青年期の闇なし一郎彦がさっぱりした素で話すのは全幕通してここだけなので、ここは意外に重要ではないでしょうか。声が大きくて、早口ぎみで、何だかちょっとせっかちかも。ここまで千織一郎彦を追ってきた者が見ると、対外的にエネルギーを発散する癖が、ここでもちょっと滲んでしまっているように見えます。なあんだ、この一郎彦、やっぱり素でそういう人なんじゃん。答え合わせができる気がする、大好きなシーンです。
◎カスの余談
以下、おまけにすら書く必要もない、ゴミカスの余談です。
読む必要は全くありません。あまりにカスなので、「◎おわりに」まで飛んでください。
長々と書きましたが、もともと私が短気なキャラクターを見るのが好き(ガンバの七郎すげえ良かった〜早田さんでした)な上に、千織さんの外見もすごく好みというか、めっちゃイケメンじゃない!?となったので、そういう俳優さんがそういう役として舞台に上がっていたから好きになった、というのはものすごく大きいと思います。見れてよかったな、本当に。
黒髪が好きなので、それも本当にありがたかったです。
また、(力こそパワー感想とは別の)友人に千織一郎彦の写真を見せて感想を言ったら「遠距離攻撃が強い代わりに近距離攻撃が強そう」とのありがたいお言葉をいただき、腹が捩れるほど笑いました。笑いすぎて声帯から変な音が出ました。
…これスマブラのサムスが元ネタらしいですね。一郎彦女の子説、ここで回収したくなかった。
そして、以下、ずっと言いたかったこと。
千織さんの特異な印象をファイアーエムブレム(任天堂のRPG)で例えるとこんな感じ!ずっとこれくらいの違いがあるなと思っていたけど言える場所がなかった!(以下早口)
なんていうか、普通なら一郎彦って技↑速さ↑とかの、エンゲージでいうカゲツみたいな成長しそうだし、菊池さんとか笠松さんとかも恐らくそうなんだけど、千織さんだけ力↑HP↑みたいな、パネトネみたいな成長しそうなんだよね。千織さんだけDLC版一郎彦なんか?まあ、カゲツもパネトネも一軍だったんで、使いやすいことに変わりはないんですけどね。なお、九太は主人公なんで、普通にロード→マスターロードでしょう。
いや、何の話?
でも千織さん、やっぱり力↑技↓みたいな殺陣するよな、と思って、私は一人納得するのでした。誰もわかんねえだろこの話〜!
◎おわりに
ここまで読んだ人がいるかわかりませんが、もしいましたらありがとうございました。なお、ここに記述されていることは全て私が色眼鏡を通して見た結果であり、私と全く違う印象を抱いた方もいるかと思います。納得できない場合は、ハロウィンの時の渋谷の女の子のように、この筆者バカすぎ。それでファンやれてるつもりィ? と思い、この記事の妙な毒にやられる前に爆速で距離をとって下さい。
千織さん(左利きぽいですね。やばい。左利きの一郎彦、あまりにも好きすぎる。別に千織さん演じるスカイやラウルが左利きでもそんなに気にならないのですが、左利きの一郎彦しんどすぎます。好きすぎて情緒が破壊されました)、大好きになってしまったので、またどこかで拝見したいです。とりあえずマンマミーアに出てくれえ!!!!!!!!!!おわりです。

